白堊スポーツ(since2004.9.18)~盛岡一高応援ページ

母校の盛岡一高を熱烈応援! 趣味はウォーキングと読書。よろしくお願いします。

熱球ー重松清

評価5(5段階評価)

重松清が母校の山口県立山高校野球部をモチーフとした「スポーツ小説」。もちろん「ふるさと」「帰郷」という重松節も味わうことができる正統派小説だ。

大学の教員である妻が一時渡米、編集者の仕事を辞めた洋司は故郷に一人残している父親を気遣い小学5年生の一人娘・美奈子を連れ立って帰郷。母校・周防高校野球部のメンバーとの再会を果たすが、県大会で準優勝した高校3年生の夏の忌まわしい出来事が洋司の心に影を落として重苦しい日々を過ごして行く。そんな中、洋司は母校のコーチに就任して現代っ子の野球部員との意識の違いに戸惑いながらも「負ける意味」を考え始める。

作中に登場するシュウコウ(周防高校のこと)を熱烈応援するおじいさん・ザワ爺が勝っても負けても「ようがんばった。ようがんばった。」とナインに向かって声を掛ける姿に胸を打たれた。母校の盛岡一高を応援する私もザワ爺を見習わなければならない!これからの応援の有りようを考えさせられた。

最後に、ザワ爺が亡くなった時のシュウコウ野球部監督の弔辞を紹介しておこう。

高校野球とは・・・シュウコウの野球とは、負けることに神髄があるんだと、わたくしたちはザワ爺から学びました。高校野球で勝ち続けることのできる学校は、甲子園で優勝する一校しかありません。どこの学校も負けるのです。負けることが高校野球なのです。ザワ爺、あなたはわたくしたちに、負けても胸を張れ、と言いつづけてくださいました。負けることの尊さと素晴らしさを、わたくしたちに教えてくださいました。わたくしたちは、おとなになっても負けることばかりです。勝ちつづけているひとなど、きっと、誰もいません。でも、そんなとき、ザワ爺の声が聞こえてきます。「ようがんばった、ようがんばった」と・・・。おとなになってから、ザワ爺、あなたの声が、高校時代以上にくっきりと聞こえてくるのです。その声に救われて、励まされて、わたくしたちは、人生というグラウンドに立って、幸せという名の白球を・・・いえ、熱球を追いつづけているのです。ありがとうございます。自分を応援してくれる誰かがいてくれるというのは、ほんとうに幸せなことなのだと、わたくしたちは、あなたに教わったのです。